このページでは、私がなぜ社会保険労務士という道を選んだのか、その背景をお話しします。

経歴や資格の話というよりも、「どんな価値観で、どんな人と向き合いたいのか」。
その輪郭を感じ取っていただければ幸いです。

研究者として、社会と向き合ってきた時間

私は長年、製薬企業で研究員として仕事をしてきました。抗がん剤の研究に携わり、世界中の患者さんに貢献することを目標に、研究に没頭してきました。論文や学会発表という形で成果を世に出し、社会の役に立つ仕事に関われたことは、今でも誇りに思っています。

一方で、研究の仕事では、患者さん一人ひとりの顔を見ることはできません。「目の前の誰かが喜ぶ姿」を直接見る機会は、ほとんどなかったのです。

マネジメント経験が教えてくれたこと

研究者としてのキャリアの後半では、研究所長として組織のマネジメントを担いました。 研究の方向性を示し、チームで目標を共有し、PDCAを回しながら成果につなげていく。その中で強く意識するようになったのが、成果を生むのは「人」であり、「仕組み」であるという事実です。

また、製薬企業という製造業の一員として、品質や安全を最優先する現場文化の中で仕事をしてきました。そして、医療従事者が背負う責任やプレッシャーを、現場の一員として肌で感じてきた経験は、経営や労務の課題を考える際に、常に「現場で働く人の立場」を意識する土台となっています。

「顔が見える仕事」を選びたいと思った理由

40代を迎えた頃から、次第にセカンドキャリアを意識するようになりました。 次に選ぶ仕事は、もっと身近で、顔が見える人の力になれる仕事にしたい。そんな思いを抱くようになりました。

さまざまな資格取得に挑戦する中で出会ったのが、社会保険労務士という専門職です。 社会保険労務士は、中小企業の経営者や働く人と直接向き合い、組織や人の悩みに寄り添いながら支援できる仕事です。その使命に、強い魅力を感じました。

人事の現場で確信した、自分の進む道

社会保険労務士資格取得後、私は研究職を離れ、人事部へ異動しました。労務管理、就業規則、採用、労働組合対応、DEI、健康経営など、人と組織に関わる実務を通じて、現場の課題に直接向き合ってきました。

その中で、研究、マネジメント、製造現場、人事というこれまでの経験が、一本の線でつながっていく感覚を覚えました。社会保険労務士として企業を支援することは、自分の経験を最も自然な形で活かせる道だと確信するようになっていったのです。

巡礼の道で、立ち止まって考えたこと

3年前、赴任していた徳島で人事関連業務に携わっていた時期に、半年かけて四国八十八カ所巡礼を結願しました。 巡礼は、単なる参拝の旅ではなく、長い道のりの中で自分自身と向き合う時間でもありました。

歩きながらこれまでの生き方を振り返り、自分はこれから、誰のために、どんな形で役に立ちたいのかを考え続けました。

巡礼の終盤には、心の中の雑念が少しずつそぎ落とされ、「これから、誰のために、どう生きるのか」という問いだけが、静かに残りました。

人生100年時代と言われる今、これからも長く人の役に立ちたい――そんな思いが、よりはっきりとした輪郭を持つようになっていきました。

大窪寺:四国八十八カ所結願の地

これから、どんな存在でありたいのか

こうした経験を通じて行き着いた答えが、社会保険労務士として、身近な中小企業や働く人の力になることでした。

研究者として培った論理性、 製造業・生命関連企業で体験した現場感覚、 研究所長としてのマネジメント経験、 そして人事の実務経験。

これらを土台に、経営者や働く方々の立場に立って考え、共に悩み、共に解決策を探す存在でありたいと考えています。

経営者の方、そして働く立場の方。 「これは誰に相談すればいいのだろう」と感じたとき、思い出していただける存在であれば、これ以上の喜びはありません。

このページをご覧いただいた方と、いつか「顔が見える距離」でお話しできることを、心から願っています。